さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白
さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白
さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白
講談社 講談社
¥ 1,785
霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」 (文春新書 635)
官僚国家の崩壊
財投改革の経済学
官僚との死闘七〇〇日
霞が関をぶっ壊せ!
■優秀な高橋洋一氏と有効な『情報の非対称性』 評価5 日付2008-09-27たびたび竹中構造改革を批判していたスティグリッツ氏の業績のひとつに『情報の非対称性』というものがある。端的に言えば情報格差とでも言えようか。この高橋氏の著書にはそのエッセンスが凝縮されている。
高橋氏は90年代430兆円公共投資した官僚を嘲る。しかし、その発端は当時のクリントン大統領に強く要求され実現したものであり、また当時著書『民富論』にて合計530兆円の公共投資を説いたのは竹中平蔵その人である事には一切触れていない。
確かに氏は技術的には大変優秀なんだろう。『内側』にいて不良債権処理をかなり上手く成功させたのは評価せざるを得ない。無論、この不良債権処理を一番強く要求していたのは米国である(大門みきし議員の国会質問2002年11月分をご覧いただきたい)
2001年〜2004年は日経新聞が「代行返上の売りをしろ」「株の持ち合いは旧式経営だ(早く投げろ)」「銀行を破綻させてもいい、中小企業の貸しはがしもやむなし」と喧伝していた時期と見事に符合する。
要するに日本国政府内部の「アメリカの友人」に不良債権処理を促し、それに呼応するようにメディアをして売り煽りをせしめる。
優秀な氏が官僚叩きをするは構わない。しかし果たして現在の多くの政治家が「劣化した官僚」より優秀だと言えようか。 ブログもろくに更新できない杉村議員や娘のパジャマを愛人に着せるような横峯議員がやすやすと当選する国である。より劣化している政治家は諸外国からの甘言を聞き、より悪い方向に国を導かないだろうか。正直気が重い。
■官僚組織を知るための良書 評価5 日付2008-08-26改革の裏でうごめく官僚の抵抗、骨抜き作戦の数々は、納税者の一人として憤りと脱力感を感じさせた。目に見えず数値化できないところで、非効率な業務によって多額の税金が無駄遣いされ続けているこの国の将来はまじヤバイかも。と、考えさせられた。
理数系の素養を持ち、言いたいことを言う著者は、小泉首相と竹中大臣の時代に出るべくして出てきた官僚の異端児である。しかし変動利付き国債への懸念は予言どおりになってしまった。
(以下、日経ネットの記事より引用)
財務省は2008年度の15年物変動利付国債の発行について、当初計画の2兆4000億円から1兆2000億円に減額すると発表した。今月22日と来年2月に予定していた入札は中止する。需給悪化などで価格が急落し、含み損を抱えた投資家が慎重なためだ。不利な条件での発行が続けば国民負担が増える懸念もあり、大幅減額に踏み切る。
15年物変動利付国債は、固定金利の10年物国債の利回りに連動して利率が決まる。金利上昇時にも買いやすい商品として00年に発行を開始し、都市銀行や地域金融機関などが積極的に購入してきた。
しかし今年3月に米国の金融不安が深刻化してからは流動性の低さなどが嫌われ、海外投資家の投げ売りも出て需要が急減。市場関係者からは「需給改善のために発行額を大幅に減らすべきだ」との声が出ていた。(引用終わり)
財務省から分離した金融庁は金融機関には厳しい処分をしているが、財務省の国債の商品設計には何も言えないだろうし、含み損を抱えた金融機関に頭を下げることもないだろう。
■官僚がなぜダメなのかが明確にわかる 評価5 日付2008-08-23著者の自慢的な書き方や安倍元首相をかばうあたりは、
あまり共感できないとはいえ、
本書に通底する、官僚の官僚至上主義、
事なかれ主義、セクト主義、異分子排除主義などが、
日本社会をいかにおかしくしているか、
内部にいた人間でしかわからないことが、
非常に多く書かれており、
今の官僚機構がなぜ悪いのかが、明確にわかる良書。
■なぜ郵政民営化等の行財政改革が必要だったのかよくわかる 評価5 日付2008-07-28まず、文章が読みやすい。著者の理論的かつ実際的なところに共感がわく。勿論、実現可能かな、ちょっと厳しいのではと感じるところがあります。
財政改革では、増税派=財政タカ派(与謝野馨など)とデフレ克服により経済成長を導き税収増=上げ潮派(中川秀直など)の確執、自民党国会議員では党人派と官僚派のセンスの違いが描かれています。公務員改革にも触れられていますが、小泉、安倍内閣で行われまたは行われようとした様々の改革の意味・背景が分かります。最後の方で社会保険庁の消えた年金問題なども取り上げられていますが、民主党の案より、著者の考えの方が説得性があります。著者は、竹中平蔵氏を師と仰いでいますが、小泉、安倍、中川秀直など党人派の考えに親和性があります。これらの人物にくわえ政府税調の委員長を愛人スキャンダルで辞した本間正明阪大教授などの人物像が好意的に取り上げられています。他方、財務省を財政原理主義、日銀を反インフレ至上主義とこき下ろします。
著者は東大の数学科の出身ですが、いろんなプロジェクトを短期間に仕上げてゆく企画立案能力、実行力に敬服です。日本の官僚は優秀と言われていますが、本人の言によれば、日本の官僚の国際競争力は高くないそうです。
でも、日本の国としての国際競争力は低下していくと言われれば、そうだろうなとさびしく感じます。
■由らしむべし、道連れにすべし 評価5 日付2008-06-13小泉首相が強行した「構造改革」にはアカデミズムから転進した竹中平蔵が欠かせなかった。その竹中氏は小泉辞任にともなって政界を退いた。黒子としてではあったが本書の著者はその後に残って安倍内閣の改革で辣腕をふるった。表紙のカバーには「財務省などが隠す国民の富『埋蔵金』を暴露し一躍脚光を浴びる」と書いてある。『さらば財務省―官僚すべてを敵にした男の告白』という題名やこのようなキャッチフレーズで本書がキワモノであるかのような印象を与えるのは著者の本意ではないだろう。たしかにこれらの表現は本書の一面を言い当ててはいる。しかし真面目な読者は本書に盛り込まれた個別的、具体的な政策論をさらに深く理解したいと思うだろう。
他方では、著者の言い分を一方的だと難ずる人も少なくないだろう。とりわけ官僚(著者の命名する「過去官僚」も含めて)や彼らの意を体する閣僚たちの反発が凄まじいものであることは本書からも伝わってくる。日本の社会は彼らを代表とする多数派の支援、許容、あるいは不作為によって生き延びている。それが可能であるならば、ただ感情に走るだけでない、本書同様に筋の通った(望むらくは官僚による)反論を読みたいところである。
「日本はもっとも成功した社会主義国だ」と言われたことがあった。社会主義国のほとんどが破綻を露呈した今になってみると、このような言い方はただの冗談ではなかったと思われてくる。そう思って読むと著者の鉾先は、統制経済で市場を管理することによって領土を拡大した「霞ヶ関帝国(むしろ、霞ヶ関連邦?)」に向かっていることに気づく。この「財政原理主義」を奉ずる権力の基盤は自由化の進展によって脅かされつつある。そしてそれがそもそも何のための帝国であるかも解き明かされる。彼らにとって「市場原理を前面に出す竹中さんは生理的に受け入れられない相手だったのだろう」。著者の立場はもちろんこの竹中流である。小泉、安倍両内閣に顕著であったこととして、その国際感覚や歴史意識を記憶する人も少なくない。しかし本書にそれに触れるところがない点も竹中流である。
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